調査票の作成について

知りたいことを知るためにはどのように聞いたら良いか.誰に聞けるか(調査対象),どう聞くか(調査手法)も踏まえつつ,目的にかなったデータの分析手法の選択と,それに適した形式のデータを得られる設問設計を考えます.

意識の違いを把握したい

ターゲットを属性で絞り込むだけでは不十分なことがあります.そこでさらに対象者の“意識”の違いを探ります.

意識が連続的な強さで測れる場合→因子分析
いくつかの意識項目に対して,たとえば0〜10のスケールや,4段階程度以上の程度を問う選択肢で回答が得られる場合.
回答パタンから意識項目群をいくつかにグループ分けすることで,評価基準をより単純に把握します.
意識は「はい」「いいえ」程度でしか聞けない→コレスポンデンス分析
いくつかの意識項目に対して,ひとつずつ当てはまるか否かを聞く.あるいはいくつかの意識項目から当てはまるものを選んでもらう.
回答パタンから意識項目群をいくつかにグループ分けすることで,評価基準をより単純に把握します.
意識を直接聞くことにあまり意味がなさそうな場合→多次元尺度構成法
対象者の分類に有効であろう意識項目が予想できない場合,評価の対象となるものをいくつか用意し,対象間の類似度を答えてもらいます.あるいは各対象ごとに評価する程度を聞きます.
対象間の似ている/似ていないの評価結果から,あるいは対象間の評価の程度の類似度から,それらの対象がどういった評価基準で分類されているのかを解釈します.

たとえばこのように,取得したデータの分析方針を踏まえて,あらかじめ設問を設計します.

意識の違いによって対象者をグループに分けたい

こうした各評価基準に対する関わりの程度から対象者をグループに分けます.

各評価基準に対するスコアから対象者を分類する→クラスター分析
(この点だけの範囲では調査票設計上の配慮はとくに関わってきません)

各グループにあてはまるであろう人にアクセスする方法を知りたい

調査対象者をグループに分けたら,今度は実際の市場でそうした人たちを捕捉するにはどうしたら良いか分からないとアクションにつなげられません.

各クラスターの属性を把握する→クラスタクロス
各クラスターごとに,直接把握できる属性の分布を調べます.
(作業上はクロス集計のみ.多変量解析を用いるものではありません)

このために,意識調査をしなくても分かる,かつ,グループごとに分布が違いそうな属性,について質問しておく必要があります.


調査が終わってから分析方針を考える場合,分析方針は取得済みのデータの形式などに縛られて限定されてしまいます.調査を行うよりも前に,こうした一連の分析方針をあらかじめ想定して調査票を設計するほうが解釈がスムーズです.

ご注意ください

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